革の基本的知識

こんばんは。
Himeji Total Leather Expert(姫路トータルレザーエキスパート)代表の北口です。全国各地で桜が満開との情報で、兵庫県姫路市にも桜の名所が多く賑わってきました。

さて、先月の創業依頼多くの方々からのお問い合わせや、ご来店及びオーダーを頂きまして誠に有難うございます。モノづくりのプロの職人さんからレザークラフト初心者様まで作りたい作品にあわせて皮革産地ならではの適正価格でご満足頂ける皮革素材をご提案させて頂きたいと思います。

レザーは一般的に知られている素材ですが、意外と詳細に関しては広く知られていないようで、今回レザーの基本的な知識を纏めていきたいと思います。

レザーは『半裁』で売買されるのが一般的です

レザーを使ってモノづくりをされない方は革製品といってカバンや革靴のように製品になっているのを目にすることがないと思われます。一般的に市場に多く流通しているのは牛革です。牛革の場合

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(画像引用:日本経年変化協会

上の画像のように頭からお尻にかけて背中に真っ二つに裁断する背割りと言うかたちで裁断されたものを半裁と呼びます。つまり1頭の牛から2枚の半裁が取れる事になります。
人間と同じく、牛も哺乳類で身体の部位によって皮膚の厚みが異なります。モノづくりを行う職人さんは各部位の特性を考えながらモノづくりを行っています。

 

革の値段は10cm正方の面積で決められています

 ではこの半裁一枚いくらと値段が付けられていると思われがちですが、実際レザークラフトショップで同じレザーの半裁を見比べると、半裁ごとに数百円から場合によっては数千円異なることがあります。高い方が品質が良いのではなく、価格の違いの理由として、

革の価格は10cm正方の面積で価格が決められている

と言うのが大きな特徴です。

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10cm正方の面積(100平方㎝)を1デシ(ds)と呼びます。
この1デシ(ds)あたりの価格をデシ単価と言います。

つまり分かりやすく説明するため、デシ単価100円のレザーがあって、半裁200dsと半裁300dsのレザーでは半裁一枚あたり、10,000円の価格に差額が生まれてきます。レザーの出処は牛馬の皮膚ですから当然人間が身長が高い人、低い人。体型がポッチャリしてる人、痩せてる人と個体差があるように大きな牛から小さな牛と牛でも個体差あるので、このような価格の差が生まれてきます。これはレザーが天然素材ならではの現象かと思います。

コラム~デシ単価幾らから高いと思われる?~
革の価格は原皮の品質(傷が少ないなど)や鞣しの種類、仕上げの種類など革そのものの製作によって決定され、手元に届くまで幾つの商社を通されているのかなど販売ルートによって変動してきます。革を購入する際、幾らぐらいから高いのかと思われるため、日本経年変化協会の会長に訊ねてみました。彼は姫路だけでなく、栃木レザーやインポートレザーなど全国各地のレザーの仕入れを行っています。

「良い革(彼の場合上質な革を指す)はデシ80円代が一般的かなぁ~。デシ100円超えてくるとちょっと高いから、品質や色が見合ってるとか色々考えるよね~。」

との事です。皆様も同じ感覚でしょうか?
私供は産地直送ならではの適正価格でご提供したいと思うので非常に参考になりました。

 

鞣し方による分類

 レザーは鞣し方によって、素材としての特性が異なってきます。
そもそも鞣し(なめし)とは、牛馬の皮膚はそのままでは腐食してきますので、腐らないように加工することです。腐らないように加える防腐剤が地球上に元々ある植物性のものであればタンニン鞣しと呼ばれ、クロム酸の化学薬品であればクロム鞣しと呼ばれます。価格も手間暇と防腐剤の価格からタンニン鞣し革の方がクロム鞣し革より高価となっています。しかし、ここで私が言いたいことは

鞣しによる価格の違いが革の品質の良し悪しではないと言うことです。

タンニン鞣し革クロム鞣し革双方には特性があり作りたい革製品がどちらが適しているかと言うことが重要となります。実際に日本に流通しているレザーの8割以上がクロム鞣し革であり、タンニン鞣し革の市場流通量はわずか1割前後と言われています。

ここでタンニン鞣し革クロム鞣し革双方の特徴を簡単にご説明致します。

 

タンニン鞣し革の特徴
タンニン鞣し革は一般的に『ヌメ革』と呼ばれます。長所としては
  • 革らしい風合い
  • 分厚く厚みがある
  • 使い込むと変色などの革らしい経年変化がある
  • レザークラフトでコバ(革の断面)が磨ける

などが挙げられます。タンニン鞣しは戦前からある鞣し技法で昔ならではのレザーとなり、その風合いを偏愛される方に好まれています。短所としては

  • 一般的に思われる「革製品は重たい」と言う特有の重さ
  • 変色してしまう(変色を経年変化と思うかは趣向性)
  • 原皮の傷などがそのまま出やすい
  • 分厚いので薄くと漉き過ぎると避けやすい
  • 革製品にした際コマメなメンテナンスが必要

レザー製品を偏愛される愛好家の方々は自身が長年使い込んでレザーに生まれる傷や皺(しわ)、変色を経年変化として好み、また自らが定期的にメンテナンスをする時間も楽しみにされ、好んでヌメ革製品を選んでいます。

クロム鞣し革の特徴
戦後、クロム鞣し革は大量生産が可能な鞣し技法として日本だけでなく全世界的に急速に普及した鞣し技法です。長所としては
  • 薄くて靭やかでヌメ革より軽くて丈夫
  • 変色が起こりにくい
  • 特別な定期的なメンテナンスが不要

ヌメ革の短所を補うような特性であり、薄く靭やかで軽くて丈夫と言うところがレザージャケットなど服飾業界や車のカーシートなど工業の分野など幅広い業界で様々な用途で用いられてます。短所としては

  • 革らしい風合いはヌメ革より劣る
  • ヌメ革のような革の厚みがない

この特性から考えると一般的にはクロム鞣し革が普及するのは自然なのかもしれません。革らしい風合いを求めるような少しコアなレザー愛好家にはタンニン鞣し革が遥かに魅力的に感じ選ばれるのだと思います。

 

良いところ取りで近年急速的に普及しているハイブリッド鞣し

クロム鞣し革の特徴である軽くて丈夫な長所にやっぱり昔ながらのタンニン鞣し革特有の風合いの要素を加えたい。このようなニーズが高まって近年ではハイブリッド鞣しと言う鞣し技法が急速に広まってきました。

ハイブリッド鞣しとはクロム鞣し革を再度タンニン鞣しを行う技法でクロム鞣し革にタンニン鞣し革の風合いを加える為の技法です。

実は皮革産地の姫路では昔から存在した技法でワークブーツなどに用いるため精製されていました。双方の良いトコ取りでレザー初心者から愛好家の方々まで広く受け入れ始められたレザー素材です。

 

レザーと言う天然素材の簡単な基礎知識を纏めてみました。

 

通販サイトを通じて産地直送適正価格でレザーをお届け致します

私どもの理念に、現在姫路の多くのタンナーを始め専門家たちに共感して頂き、私も日々工場に足を運び、喜んで頂ける望まれるようなレザー素材を日々探し出し、作り出すように務めています。

はるばる遠方から宿泊の準備をして訪問して頂くこともございますが、日本全国の方々のご要望にできるだけお応えしたいと思い、通販サイトを立ち上げております。

htle.thebase.in

現在OUTLETのレザーを販売させて頂いております。
欠陥商品と言うわけでなく、数に限りがあるタンナーさんのサンプルレザーが中心となり、サイズに関係なく半裁8,000円~10,000円にて販売しております。デシ単価では50円を切る価格となっております。

今後、作家さんのご希望されるレザーなども販売してまりますので、今後とも宜しくお願い致します。

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